漁法は,いかに効率的に魚を獲るか,魚の習性をふまえ,漁師の知恵と経験が積み重ねられ,改良され現在まで受け継がれてきた魚を獲るための技です。
霞ヶ浦北浦の代表的な漁法を次のとおり紹介します。
(1)わかさぎ・しらうおひき網漁業(通称:トロール)
動力船の後方に網を入れて水中をひき,ワカサギ,シラウオ,エビ,ゴ ロ等を獲る漁業です。
獲ろうとする魚種の生態によって網を沈めて底層をひく方法と,網を浮かせ表中層をひく方法があります。
(2)いさざ・ごろひき網漁業(通称:横びき)
「かんざし」と呼ばれる太い竹を船の前後に突き出して,網口を広くして網を横にひく霞ヶ浦北浦独特の漁法です。
網を曳くための漁船の移動は,網の反対側に固定したアンカーロープを網巻機でたぐり寄せることで行い,エビ,ゴロ,イサザアミ等を獲ります。
(3)張網
湖岸から沖合に向けて設置する定置網の一種です。湖岸に沿って泳いできた魚を垣網(垣根のように長く張った網)によって沖合の袋網に誘導して獲る漁業です。
(4)笹浸
小枝の束(そだ)を沈めておき,そこに潜り込んだエビ,ゴロ等をそだごと持ち上げ,さで網で受けて獲る漁業です。
(5)刺網(掛網)
ナイロン製の透明な網を長く帯状に張り,コイやフナ,シラウオ等を網目にささせ絡ませて獲る漁業です。
(6)帆びき網漁業
明治初期にシラウオを漁獲するために考案され,様々な改良をかさね,現在知られるような形となりました。
この帆びき網漁業は霞ヶ浦北浦の漁業の発展に大きく貢献し,最盛期には552隻を数え,霞ヶ浦北浦の風物詩として全国にその名を馳せました。
のどかに見える帆曳漁も,実際は強めの風がないと操業できず,高い技術と体力を要する難しい漁法です。
伝統的なこの漁法も,操業の省力化,効率化のため1968年(昭和43年)
から1985年(昭和60年)にかけてその姿を消し,動力船のトロールに代わりました。
現在では,観光を目的とした帆びき船として霞ヶ浦北浦を訪れる人達の目を楽しませています。ぜひ一度霞ヶ浦北浦に来て,その美しさを間近でご覧あれ!!